大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和41年(あ)1920号 決定 1967年3月16日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人岡田実五郎、同鈴木孝雄の上告趣意のうち、憲法違反を主張する点は、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であり、判例違反を主張する点は、引用の判例は本件と事案を異にして適切でないから所論はその前提を欠き、その余は、事実誤認、単なる法令違反の主張であって、いずれも適法な上告理由とならない。(本件のように、道路交通法七二条一項に規定する措置、報告等を怠る意思のなかった運転者等を教唆して、新たに犯意を生ぜしめ、右の義務違反をさせたような場合には、同法七三条の妨害罪に当らない旨の原判断は相当である。)

弁護人佐々木熈の上告趣意第一点は、憲法三八条違反を主張するが、記録に徴するも、被告人の捜査官に対する供述調書に任意性を疑うべき点は見出されないから、所論はその前提を欠き、同第二点は、単なる法令違反、同第三点は、事実誤認の主張であって、適法な上告理由にあたらない。

よって、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 長部謹吾 裁判官 松田二郎 裁判官 岩田 誠 裁判官 大隅健一郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例